* 明くる朝、真郷はいつもより早めに起きると、既に用意されていた朝食に箸をつけた。 こんがりとした焼き魚の匂いに、食欲をそそられる。 祖母と母以外に、もうひとり、この家には家政婦が居る。 ちらりと見た感じ、ふくよかで気の良さそうな女性だった。 もともと朝食はあまり食べられない真郷だったが、昨晩の夕食が喉を通らなかったせいもあり、完食した。 それから身支度を済ませ、家人と顔を合わせることなく家を出た。