真郷は夏哉に目配せして、彼が頷くのを確認すると微笑んだ。 「そろそろ行くよ。家族にも挨拶しなきゃ……それじゃあ、またな」 「ああ、またな」 真郷は二人に背を向けると、後ろ髪を引かれながらも深見の家へ向かった。 九郎と出会った通学路の畦道も、もう歩くことはないと思うと妙に寂しく感じる。 いざこうして一人で歩いていると、案外家まで短い距離だ。 視界に入った深見屋敷を見て、真郷はそう感じた。