その返答に、夏哉は脱力したように肩を下げた。
「はぁ。……で、結局は両想いだったろ?最初から気づいてないのは当人同士だけだったからな」
「へ?」
語尾の方は小声過ぎて聞き取れなかった。再度聞き返しても、夏哉は二度と答えてはくれなかった。
その代わり、先程とは違って、笑顔で真郷の背を叩いた。
「でも、良かったよ。真郷なら俺も信頼できるし。これからはなるべくお前が姉さんの傍に居てやってくれ」
夏哉は誰よりも小夜子の近くにいて、小夜子のことを大切に思っている。
その夏哉がここまで言ってくれたのだ。できることならそうしたい。
だが、真郷にはどうあっても彼に伝えねばならないことがあった。
「夏哉、それなんだけど……俺さ、卒業したら東京に帰るんだ」
「……は?」



