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鬼のような形相の夏哉を前に、真郷は苦笑いを浮かべていた。
「真郷、今日は姉さんと一緒に授業サボったらしいじゃないか。いったい二人でナニをしてたんだ?」
「な、ナニって……」
じり、と間合いを詰められて、真郷は思わず後ずさった。小夜子が絡んだときの夏哉は怖い。
「シスコン……」
「何か言ったか?」
「あ、いや何も!」
「……」
そんなやり取りが続き、暫くすると夏哉が大きな溜め息を吐いた。
「ま、大体の予想はつくけど。──で、どうなったワケ?」
「どうって、その……」
急に顔を赤くした真郷に、夏哉はハッとした。
「まさかもう手ぇ出したんじゃないよな!?もしそうならいくらお前でも──」
「違っ!変なこと言うなよ!ただ……お互いの気持ちを確かめただけだよ」



