「俺は小夜子が好きだよ」
その言葉に、小夜子は思わず顔を上げた。
「うそ……」
「嘘じゃないよ。小夜子が好きだ。初めて会ったあの日から、ずっと」
真郷は小夜子を解放すると、彼女の瞳から溢れ出る涙をすくった。
「今まで本当のこと言えなくてごめん。伝えたら、もっと小夜子を苦しめると思ったんだ。だからどうしても言えなかった」
「……そんな事、今聞いたら余計につらいよ」
小夜子は真郷の胸に顔を埋める。そして小さな声で呟いた。
「好き……私も、真郷くんが好き……好きなのに……」
胸板に押し付けられた小夜子の震える手を、真郷は優しく握る。
「俺、戻ってくるから。小夜子のこと、大人になったら迎えに来るよ。だから、それまで俺のこと……」
「好きでいるよ!真郷くんだけだから。私が好きなのは、ずっと真郷くんだけだから……ずっと待ってる」



