始業を告げる鐘が響く。 気が付くと、真郷は教室とは反対の、小夜子が走り去った方へと駆け出していた。 授業が始まろうが、そんなことはどうでもよかった。 ──大切な人を傷付けてしまったのだから。 小夜子を追って辿り着いたのは、校舎裏の倉庫だった。今は使われていない、ガラクタ置き場になっている。 立て付けの悪い扉をこじ開けると、嗚咽のようなものが聞こえた。 「──小夜子、いるの?」 暗くてよく見えないが、気配はある。 入口の壁に掛けてあった懐中電灯を取ると、その光で辺りを照らした。