償いノ真夏─Lost Child─


知らない方が良いのかもしれない。けれど、知らないままでは、どうにもならないことの方が多い。

自分の知らない場所で、自分を取り巻くものが変わってしまうのが嫌だった。

祖母はじっと聞いていたが、真郷が話し終えるのを待ってから口を開いた。

「それを知って、お前はどうするつもりだい?」

「友達が困ってるんだ。何も知らない、この村の人間じゃないって理由で見過ごしたくない」

「──本当に、お前は父親に似たね、真郷。他人の為には愚かなほど自分を犠牲にしたがる。残念だけれど、お前に教えてやれることは無いよ。世の中には知らない方が良いことも沢山ある。……特に、この村には」

「おばあちゃんも、秘密にするんだね」

「関わって後悔してからじゃ遅いからね。百合江が言ったなら、朝霧とは関わらん方が良い。親の言うことは聞くもんだ」