「でも、他に信用できる人も、教えてくれそうな人もいないから、おばあちゃんに訊くよ」
「……」
祖母は無言のまま、静かに頷いた。
「俺の友達に、朝霧小夜子と夏哉って姉弟がいる。父親が飲んだくれで、村での扱いは村八分みたいなものだ。この間、その父親に会ったら、なぜか俺に凄く怯えて、深見の……って言ったんだ。初対面なのに」
祖母の表情が、僅かに曇って見えた。それでも、真郷は続けた。
「それだけじゃない。前に夏哉が家に来た時、母さんも『朝霧の子じゃないわよね』って言ったんだ。そんなの変だと思う。朝霧だからとか、深見だとか、この村の人は何をそんなにこだわるの?一体、何があるの?」
勢いのまま、真郷は今まで感じてきた疑問を祖母にぶつけた。



