* 隣の空席を見て、真郷は溜め息を吐いた。 それは落胆なのか、安堵によるものか、自分でも分からなかった。 とにかく、小夜子が学校を休んだのは確かだった。担任には体調不良で片付けられてしまったその理由を、真郷は知っている。 下級生のクラスを訪ねてみれば、夏哉も来ていないと教えてくれた。 「……はぁ」 何度目か分からない、長い溜め息の後、真郷は教科書を閉じた。 小夜子と夏哉のことは気になるが、正直、あの家には行きたくなかった。 正確には、二人の父親に会うのが嫌だった。