小夜子に掛けてやりたい言葉は沢山ある。沢山あるのに、真郷は口を開きかけて、やめた。
その中に、彼女を救う言葉はひとつも見つからなかった。
「──真郷くんは、平気?私達といても、嫌な思い……してない?」
不意に、小夜子には真郷を見上げた。不安の色に満ちた瞳が、揺れる。
まさか、小夜子がそんなことを気にしているとは思わなかった。
今まで見せなかったその胸の内を、ようやく晒してくれたのだ。
「嫌な思いなんて、一度もしたことないよ。小夜子と夏哉が居てくれなきゃ、それこそこんな村、初めから嫌いになってた。──どうして、そんなふうに思うんだよ」
小夜子の瞳には、うっすらと涙が滲んでいた。
「だって……」
思い詰めた表情で、小夜子は口ごもった。



