確かに、小夜子と夏哉は対照的かもしれない。
だが、それが何だというのだ。そもそも、親の悪評だけで、なぜ罪もない子供まで蔑まれなければならないのか。
真郷は悔しいような、腹立たしいような、複雑な思いでいた。
小夜子が言いたいのは、直接的にいえば“学校で肩身が狭い”ということなのだと、真郷は気づいていた。
しかし、そんな弱音を吐いたところで解決する問題では無いことを、小夜子自身も知っているのだ。
真郷は唇を噛んだ。
こんな時こそ、大人ではない自分が憎くなる。
所詮、余所者で子供の自分に、小夜子を救うことは出来ないのだから。



