特に目的もなく、単なる気分転換の散歩のつもりで村を散策する。
それでも神社にはまだ近寄りたく無かったので、反対側へと向かった。
あまり知った場所でないため、初めて歩くような道もあり新鮮だった。
暫く歩いていると、一本道の向かいから歩いてくる人影が見えた。
近づくにつれ、それが見慣れた人物だとわかり、真郷は手を振った。
「小夜子!」
真郷の呼び声に反応して、小夜子は顔を上げた。
「買い物の帰り?」
両手に買い物袋を提げている彼女に駆け寄ると、真郷は重そうな荷物をひょいと取り上げる。
「持つよ。一人じゃ大変だろ?まだ道も滑るし、転んだら危ないから」
「そんな、いいの?真郷くん何か用事があるんじゃ……」
「ないない。暇潰しに散歩してただけだし」
「──ありがとう。ごめんね、せっかくのお休みなのに」



