償いノ真夏─Lost Child─


もちろん、高校も東京の学校を受験するつもりだった。

最初から、決まっていた。

十六になれば、真郷は夜叉淵から出ていく。

「でも、ハッキリとは分かんないよ。とりあえず進学はするけど」

軽い口調で言いながら、真郷は薄情な自分を呪った。

分かっている。

いつかはこの事実を、否応なしに二人に告げることになる。

早い方が、痛みが少ないことも。

けれど、告げたらこの日常が変わってしまう気がして、怖い。