降りてふらふらと歩く僕を、彼は苦笑して見ている。 展望台らしきそこにはベンチがあって、座ると彼も隣にやってきた。 空を見上げると、一面の星に少し欠けた月。 その部分部分を雲が覆い隠している。 「ねぇ、空は好き?」 珍しく静かな声で彼が尋ねる。 「雲がいい」 いつも通りの答えに、彼は寂しそうに笑う。 そしてそのまま、空を見上げる。 一緒にいてあげるから寂しくないよ、と前に彼が言った気がする。 それなのに今のこの表情は。