「わたくしは、哉(かな)」

優しく笑う哉。

この娘は、どこの国のお姫様?

「僕は・・・麗姫」

美しい顔。

僕より美しい人、初めて見た。

「あら・・・あなた、男なの?綺麗な顔ね。女かと思ったわ」

意外そうな顔で僕を覗く、哉。

僕の顔は、そんなに変なのだろうか。

男としてみてほしい。

無性に、そう思った。

何でこんな風に思うのだろう?

幼い僕は、わからなかった。


君と出会わなければよかった。

君が僕と出会わなかったら、君はこんな残酷な運命、受けなくてよかったのに・・・。

ごめんね、ごめんね・・・・・・・・・・・・。

謝っても許されないだろう。

だって、僕はこの世で一番大きな罪を、犯すのだから。

怖いかい?

大丈夫だよ。

僕もすぐ行くから。

でも、君がこのことを望まないのなら。

逃げてもいいんだよ。

君は、首を横に振る。

さあ、はやく。

一刻も早く・・・。

すぐに行くから、安心してね。

罪を、犯した。

一生償えない、罪を。