ピアニストと野獣

「えっ!?中一っ…!?高二!?じゃ、じゃあ、年上!?」


「うん、今20歳だと思うよ。」


焦っている私とは対照的に落ち着いている稲葉さん。


まぁ、昔から知ってるんだから当たり前か。


「あっ!てか、何でアメリカにいるの?」


ふと疑問に思ったことを口にした。


稲葉さんは困った顔をして考えた末、声を潜めて言った。


「この事はあんまり口にしない方がいいから、ここだけの秘密ね。」


「…うん。」


私の返事を聞いてから稲葉さんは話し出した。


「マミさんが高二のとき、唯一のJPだったって今さっき言ったでしょ?
それを妬む嫌な人たちが当然出てくる。
それがイジメになって、肉体的にも精神的にも追い込まれたマミさんは、倒れて親に知られたの。
まぁ、それでアメリカに連れていかれたってところ。」