ピアニストと野獣

「どうしてっ…。」


西園寺はニコッと笑った。


「だって、あの場所に戻るのは危険でしょ?」


いやいや…。

私がそんなことを聞きたかったんでなくて、


「――何でここにいるの?踊らないと…。」


「俺は沙羅とじゃないと踊りたくない!…まぁ、沙羅は空と踊りたいのかもだけど。」


シュンとした表情で呟いた。

でもさ…


「空?」


私は次の言葉を聞くまですっかり忘れていた。



「好きなんでしょ?」