ピアニストと野獣

「――もう、大丈夫。」


涙も止まり、落ち着いた私は手を離そうと手を引いた。




「……陸?」


手を引いても離してくれない…。
むしろ握る手が強くなっていく。


「――痛いから!もう離してよ!」


ずっと黙って手を離さない陸の方を見上げた。


それと同時に、陸はふわりと私に抱きつき耳元で呟いた。



「――付き合って…。」