ピアニストと野獣

「何ブスってしてんの?」


「えっ…?」


振り返ると西園寺がいた。

珍しく一人でいる…。


「――って、一人!?ダメじゃん!!班の子は!?」


「はぐれた。」


焦っている私を尻目に、西園寺は笑顔で落ち着いている。


――何考えてんの…?


そんな私の気持ちに気が付いたのか、経緯を話し出した。


「――意味もなくはぐれた訳じゃないよ。
ただ、出発前に沙羅の顔を見たら暗かったからさ。」


西園寺は笑顔で、しっかりと私の目を見ながら話した。


――この空気、私が話さないといけないんじゃ…。