ピアニストと野獣

私は「じゃあね。」と言って、自分の班の元に行った。


席に座り、朝ごはんを食べ始めようと手をかけた。


「モテモテだね。」


隣で先に朝食を摂っている稲葉さんが声をかけてきた。


――別にモテモテって訳じゃないんだけどなぁ…。


「さっきのは西園寺のジョークっていうか、友達としてのじゃれ合い……みたいな?」


最後の方、自分でも意味がわからなくなっていた。


稲葉さんはキョトンとしたあとにニヤリと笑みを浮かべて、私に一言呟いて再びごはんを食べだした。



「――男女の友情って、恋と“紙一重”なんだよね。」