ピアニストと野獣

「北河さん…。」


「ん?」


稲葉さんがジーッと私の顔を除き込んでくる。


……な、何?


あまりに見られるので少し後退りをしてしまった。


「――本当は空君のこと好きでしょ?」


「!?」


と、突然何を言うんだ!?


「す、好きじゃないよ!!」


焦ってしまって声が裏返ってしまった。