ピアニストと野獣

「あれ?沙羅、何でちゃんと制服着てんの?借り物?」


二人の世界にいた陸が突然聞いてきた。


「これは自分のだよ。学校行事のときは着とかないといけなくて…。」


私は言い終わったあとでパッと口を手に当てた。


……ヤバッ!


口が滑ったよ…。


私が言ったことを、私の反応で理解した双子が騒ぎだした。


「「沙羅ちゃーん…。制服も買えないような貧乏じゃなかったっけ?」」



――最悪。