「何でフルネームで呼ぶわけ?」

「えっ…。」


思わず言葉に詰まらせてしまった。


「俺、フルネームで呼ばれるの一番嫌い。」


ちょっと……何でこんなにキレてんの?


「ねぇ、何でそんなにキレてんのよ…。」


「…。」


今まで合っていた視線をそらされた。


無視!?

無視っすか!?


「――知秋。」


「はぁ?」


横を向いていた西園寺知秋の顔がこちらを向いた。


「だぁかぁら!知秋って呼べって言ってんの!」


「……ぶっ…。」


ムキになる西園寺知秋を見て、私は吹き出してしまった。