ピアニストと野獣


「姉ちゃんが出るからピアノのコンクールをおじいちゃんと見に行ったんだ。」



千夏さんピアノ弾けるの!?


まぁ、彼女は多才だからなんでも出来るんだろうな…。



「そのコンクールで沙羅のカノンを聞いて、恋をした。」



まっすぐ向けられた視線は軽く目眩がするほどだった。



――うわぁ…。


若干涙腺が弛んでる…。




「今でも君に恋してる。」



そう言って頬に手が添えられ、顔が近付いてくる。



――キ、キスされる!!



そう思い、ギュッと目を閉じた。



ゴチン☆★!



「――ったぁ!」



何故か頭突きをされた私。



私何かした!?