ピアニストと野獣


「兄妹になったら駄目なんだよ。」



そう言うと西園寺は軽くうつ向いて私の手を握った。



――何で…?



「何で……駄目なの…?」



思わず期待が胸を過る。



その期待が私の握る手に力が加わる。






「俺は沙羅のカノンを聞いてからずっと君に恋してるから…。」




“カノン”…?



「ずっと…?カノンを西園寺に聞かせたのは最近だけど…。」




「昔に沙羅のカノンを聞いたんだよ。原曲のカノンを…。それも合宿で出会う前に。」




「えっ――?」