ピアニストと野獣


私はそのまま教室に駆け込んだ。



あ…。


空がいないから完全にアウェイなんだよね…。



それだと教室にいるのつまらないんだよね。



「沙羅!やっほ!」



「―――!!な、な!!」



『空君帰ってきたの!?』


『留学は!?』



そんな女の子の声が聞こえてくる。



教室の扉に立っている“空”。



「ははっ…。」


乾いた笑いしか出てこない。



「何やってんの?」



彼の前まで行き、睨み上げた。



「何って…。沙羅の様子を見に来たんだよ!」



いつまで続けるんだこのバカは!


「私を騙せると思ったの?」



「え゛…。」



顔をひくつかせる彼。








「陸!!」