ピアニストと野獣


――――――――――――……



「あ、俺こっちだから!」



花火も終わり3人並んで帰っていた。



「ちょっと待って!」



ちゃんと返事をしよう。


そう思って大ちゃんを呼び止めた。


西園寺は何も言わず、先に行ってくれた。



「―――あのね、大ちゃん。この前の返事なんだけど…。」



「うん。」



前を向くと私をしっかりとらえている大ちゃんの瞳。



その目は昔と変わらず私を見ている。



「――何で泣くの?」



「え?」



頬に手をやるとじんわり湿る。



何故か涙が溢れてきた。



昔に対しての思いか、未来に対しての思いかは、今の私には分からなかった…。









「――ごめん…。大ちゃん。」