ピアニストと野獣


―――いつ帰ってきたの…?



「いつ帰って来たんだよー!」



「ハートの花火シリーズが始まったくらい。」



「マジかよー!」



相変わらずマイペースにかき氷を食べている西園寺。



何か一気に力が抜けて、笑いが出てくる。


「プッ!クククッ!」



「何がおかしいんだよー!」



ふてくされる大ちゃん。



「別に…何でもないよ…。」


と言ったものの顔が笑っているのは自分でも分かる。



「あーあ!知秋がいなかったらさっちゃんと結ばれたのに!」



って、まだ言ってんのかい!


と心でツッコミを入れたら、頭にフワッと西園寺の手が乗っかった。



「沙羅は俺と結ばれるから残念だね。」



「えぇ!?」




ビックリして振り返ると余裕綽々の西園寺。



「―――!!」



はぁ…。


何か負けた気分…。