ピアニストと野獣



―――あ…。



思わず声を出してしまったが、大ちゃんに返事をしないと…。



うまい具合に二人きり。



西園寺が気をきかせた?



と、とりあえず大ちゃんに返事をしないと…。



「――だ……大ちゃん!」



花火に夢中になっている大ちゃんに意を決して呼んだ。



「ん?何?」



笑顔で振り向く彼。



それを見るだけで胸が苦しい。



「あ……あの…。」



どうしよ…。


次の言葉がなかなか出ない…。



覚悟を決めて声にしようとしたら――



「あぁ!!」



「え?な、何?」