ピアニストと野獣




ヒュ~……






ドンドーン!!




「あ!」



振り返ると暗闇に咲く花が咲き乱れていた。



次々に咲く夜の花に人々は感嘆の声を上げていた。



「キレー…。」



そんな私も久々に見る花火に目を奪われてしまった。



この風流な一時(ヒトトキ)に間抜けな声が一つ…。



「――あ、かき氷食べよー♪」



「は?」



嬉しげに屋台の方へ向かったのは西園寺だ。



かき氷より花火見ようよ!



これを“花より団子”って言うんだよね。



次々と打ち上がる花火を見ながらそう思った。




「―――あ…。」