ピアニストと野獣

「声だよ。」


「えっ!?俺らの声?意味わかんない。」


私の答えに双子は不服な様子だ。


――なんたって私は…


「だって私、絶対音感なんだもん。
――空は、きれいな“ファ”で、陸は“ファ”より、ほんの少し低いよ。」


双子はポカンとしていたかと思ったら、突然私に抱きついてきた。


「ちょっ!!止めてよ!!」


「だって、沙羅が第一号なんだもん。」


第一号?


「何の?」


「「俺たちを見分けたの!」」