ピアニストと野獣


「俺はおつかい!後輩が発注ミスしてトマトが足りないから買いに来た。」


大ちゃんは持っていたメモをピラピラしながら苦笑いをした。



そう言えば大ちゃんの両親はレストランを経営してるんだっけ…



「え?大ちゃんってコックさん?」


ビックリしたように言ったら大ちゃんは、照れ笑いをした。


「コックって言えるほどじゃないけど、一応調理師。プロの料理人になるために修行中。」



―――ス、スゲェ!!


私は目を輝かせた。


「じゃ、どんな料理が作れる――」
「沙羅、帰るよ。」


「え?」



西園寺の声だよね?


後ろには西園寺しかいないし…。


声がすごい低くて…



もしかして――



「怒ってる?」