ピアニストと野獣



変なの―――……



「あれ?さっちゃん?」



上から声が降ってくる。


見上げると声の主は逆光で見えないが、顔は見えずとも声で分かる。



「大ちゃん!!」


私は今だに繋がれていた手をほどき、立ち上がった。



「やっぱりさっちゃんだ!何しに来たの?」


ニッコリと笑う大ちゃん。


ん?


よく見てみると、大ちゃんはコック着に黒くて長いエプロンを着け、手にはメモを持っていた。



「私はスイカを買いに!大ちゃんは?」


そう言って、私はスイカを指差した。