ピアニストと野獣

「ほらっ!あそこにスイカがあるよ!」


そう言って、私は西園寺の手を引いた。


ツヤツヤのスイカは見るからに甘そうで、胃がギュ~っとなるのが分かった。


「うわぁー!スイカ美味しそう!どれにする?」


振り返ると私を見てニッコリと微笑んでいる西園寺。



「な、何なの?」


私は上目遣い気味に眉をしかめた。


「んー…別に?何でもない。」


そう言って、私の隣に座り込んで
「どれがいいかなぁ?」
なんて言いながらスイカを見だした。