ピアニストと野獣

「――ご、ごめん…。」


「俺は平気だよ?沙羅はケガしなかった?」


「うん。」


何が起こったかと言うと、勢い良く立ち上がった私は、軽い立ち眩みを起こしてしまい、階段から落ちそうになったところを西園寺に引っ張られた。


「ねぇ、早くどいてくれない?」


「え?」


私は冷静になって、今の状況を確認した。


どうも西園寺の上に座って、抱き抱えられてる。


「―――って、ごめん!!」


私は
「重かったね…。」
と言いながら慌てて西園寺から離れた。



「いや、重くはないけど…。」

とゴニョゴニョ言う西園寺に私は顔を覗き込んだ。



「何なの?」


「あー!何でもないから!」


西園寺は立ち上がり、私の手を握り、引っ張った。


「うわっ!…いきなり引っ張らないでよ!」


「さ、沙羅が危なっかしいからだろ!?」


「??」


――訳分かんない…。