ピアニストと野獣

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ミーンミーン…



「夏と言えば花火だ!」


「は?」



西園寺家に拉致られて2日目――


朝起きるとハイテンションの西園寺が嬉しそうな顔をして、

「手で持ってする花火がしてみたい!」

とか言ってきた。



――花火はいいんだけどね…。



「――花火は夜だろ。」


アクビをして頭をかきながら不機嫌そうに階段から降りてきたのは東藤さん。


「そうだよ!とりあえずスイカでも食べてろ!」


私はそう言って、コップに注いだ水を飲んだら自分の部屋に戻ろうとした。


「それだ!!」


「え?」


西園寺はニコッと笑って自慢気に話し出した。



「沙羅、一緒に下町に行って、スイカと花火買いに行こー!」



…何でそうなるの?