ピアニストと野獣

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「ねぇ、もう戻らない?」


真っ青だった海は赤く染まり、太陽は半分海に飲まれていた。


「戻るか!」


西園寺はニッコリと私に笑顔を見せた。


「う、うん…。」


私たちは車に乗り込み、別荘に向かった。



3人は疲れたのか爆睡してる。



陸と千夏さんはお互い寄り添って眠っていて、西園寺は私の隣で寝ている。



――コテン…。


「!!」


西園寺が私の肩に頭を乗せてきた。



―――長いまつげ。


筋の通った鼻。


羨ましいくらい綺麗な肌。


こうして見るとムカつくくらい整った顔してるよね…。


しかも、いいのは顔だけじゃなくて中身も。



「ありがと…。」


私に気を使ってくれて―――