ピアニストと野獣

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「あ!沙羅お帰り~。」


陸と千夏さんはビーチバレーを止めて、パラソルの下で休んでいた。


「知秋ー。沙羅ちゃんは何ともなかった?チャラチャラした男に囲まれて“姉ちゃん可愛いねぇ!俺らとどっか行かない?”みたいな。」


目を輝かせて私と西園寺を見る千夏さん。


物凄い想像力…。


「ナンパなんてないですよ~!」


私は両手を思いっきり振って否定した。


「ナンパじゃなくて浮気してたんだよ…。」


「はぁ!?」


西園寺を見るとガッカリした表情をしている。


てか浮気!?


「いや、私ら付き合ってないし。」


「じゃぁ、あの男と付き合ってるの!?」


西園寺は涙目になりながら私の両肩を掴んで物凄い剣幕で捲し立ててきた。


「何々!?沙羅、俺以外にも彼氏いるの?」


西園寺だけでもめんどくさいのに陸までもがこの流れにノってきた。


「陸とも付き合ってないし、大ちゃんはただの幼なじみ。…最近会ってなかったけど。」


私は両肩にある西園寺の手をゆっくりと下ろした。