ピアニストと野獣

――――――――――――……


「キャー!陸!はい!」


「――知秋!」


「よし!…って、あ!」


バシッ!


「私に投げても参加しないから」


ビーチに来た私たちは、陸と西園寺兄弟が円になってビーチバレーをしている。


私はパラソルの下で、完全防備でそれを見ている。


日焼けは赤くなるから嫌い。


東藤さんは別荘でお留守番。


まぁ、東藤さんは海とかのイメージないしね。


「何でビーチバレー参加しないの?沙羅がいたら2対2で試合ができるのに…。」


私に飛んできたボールを取りに来た西園寺が今だに文句を言っている。(来るまでにもかなり説得された)


私はため息を吐いた。


「やらないよ。それにバレーで突き指するかもしれないし。」


その言葉に西園寺はブッと笑って

「このビーチボールで突き指するの?」

なんて半笑いで言ってくるから私はちょっとムカついた。


「うるさい!私は素手を使う球技はしないって決めてるの!」


そう言って私は立ち上がって歩き出した。


「どこ行くの?」


「ジュース買いに行くの!」