ピアニストと野獣


「で?ここはどこ?」


私は西園寺の方を見た。


西園寺は待ってましたと言わんばかりにニコッと笑った。


「ここは西園寺グループのプライベートビーチで~す!そして!あちらに見える建物が別荘だよ♪」


「へー…。あの建物、この場所にはそぐわない気がするけど…。それで?何で連れてきたわけ?」


西園寺が別荘と言った建物は大きな洋館で、こんな爽やかなビーチにはお世辞でも似合っているとは言えなかった。


私は、そんな大きな洋館を眺めながら西園寺に聞いた。


返ってきた答えは


「え?沙羅と遊びたかっただけだよ?」


―――うん、何か色々考えるのがバカらしくなってくるよね。


「それじゃあ、荷物を置きに別荘へ行こー!!」


「おー!!」


別荘を指差す西園寺。


握り拳を掲げる千夏さん。



――この兄弟には勝てる気がしない…。