ピアニストと野獣

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時は過ぎ、夏休み―――――……


「何でこうなったのかさっぱり分からないんだけど…。」


私は波打ち際に呆然と立ち、ポツリと呟いた。


そんな私の左隣には西園寺。


右隣には陸。


「いいじゃんか…海!!」


と言って“キャーキャー”はしゃいでいるのは千夏さん。


ここまで来ると東藤さんも当然いる。


車から出ようとしないけど…。



事の発端は約3時間前――――



家でピアノを弾いていると携帯がバイブしだした。


「もしもし?」


「あ!沙羅?知秋だけどさぁ、今から泊まりで海行くから準備してねー!後10分で着くから♪じゃっ!」


「はぁ!?」


私が反論する前に西園寺は電話を切りやがって、携帯からは“プーップーッ…”と言う虚しい機械音しか聞こえなくなった。


とりあえず準備をして家を出ると西園寺はすでにそこにいて、私は軽くめまいを起こしつつ車に詰め込まれた。


そして何が何だか分からずに今に至る。


まぁ、とりあえず分かるのは私が軽く拉致られたってことくらい?