ピアニストと野獣

「沙羅が一緒じゃないとつまんなーい!」


西園寺は口を尖らせてふてくされた顔をしていたが、ニヤリと笑って私に目を向けた。


「――?…何?」


意味がわからない私は首をかしげた。


西園寺はそんな私のアゴに手を添えて顔を持ち上げたら、顔を近づけてあらぬことを囁いた。



「一緒に行かないと襲っちゃうよ?」


「――!!!!」


ビックリして私は西園寺を突き飛ばした。


突き飛ばした勢いで西園寺は尻餅をついて「いてて…。」なんて言っている。


てか、襲う!?


襲うって言ったよね!?


い、意味わかんないし!!


こんなことを言うやつじゃないと思ってたのに予想外。


「ねぇ、沙羅大丈夫?」


色々なことを考えていたら、陸に話しかけられていることに気付かなかった。


「えっ!?だ、大丈夫だよ!?」


あたふたしていると更に陸の目は鋭くなった。


「沙羅、顔が真っ赤。」


「え…。」