ピアニストと野獣

「え?何?…てか、初めて呼び捨てにしてくれた!」


バカ丸出しで騒ぐ西園寺。


「その、ピアノが嫌いになって弾けなくなった子って、私のことだよ?」


「え?ま、マジで!?」


「うん。信じたくないけど…。」


「ヒドッ!…でも、同じ沙羅のピアノを好きになるんだから確かだ!」


「意味わかんない…。」


はぁ…とため息を吐いた。


だって、その時、私はその男の子に“恋”をしたんだもん。


つまり“初恋”


このアホが私の初恋の相手…。


私は西園寺をジーッと見た。


「な、何?」


私の視線にたじろぐ西園寺。


「別に。」


プイッとそっぽを向く私。


こんな時に、西園寺は変なことを言い出した。


「何で笑わないの?」


「は?」