ピアニストと野獣



―――グスン…グスン…。


ピアノの置いてある部屋の隅で泣いている小さい私。


「何で泣いてるの?」


逆光で見えない小さな男の子。


―――ピアノが辛いの…。


「じゃあ、僕の為に弾いてよ?僕、君のピアノ好きなんだ!」


男の子はそう言って、相変わらずグズグズ泣いている私の手を引く。


―――ねぇ、何て名前なの?


「僕?僕はね―――」