ピアニストと野獣

「…。」


「“じゃあ”何?」


突然口をつぐむ陸。


――何か変。


私の頬にある陸の手は微かに震えている。


その手の上に私は自分の手をかぶせた。


「何か変だよ?…陸。」


その言葉を聞いた陸は切なそうに笑みを浮かべた。


「変にさせてるのは沙羅だよ。」


「私?」




「―――俺、沙羅が好きだよ。」



「―――!!」


その時の陸はキラキラ輝いていて眩しかった。