ピアニストと野獣

「て、本当に弾くのかよ!」


「え?聞きたいんじゃないの?」


私は出した手を引っ込め、陸の前に立った。


「で?本当は何かあるんでしょ?」


ニコッと笑ったら、陸の手が私の頬を触れた。


その陸の顔は切なそうな顔をしていた。


「どうしたの?」


陸の表情につられて思わず眉間にシワを寄せてしまう。




「まだ空が好きなの?」



「えっ…。」


陸の言葉にビクついてしまって声が出なかった。


だけど、そんな様子で私の気持ちが分かったようだった。


「じゃあさ――――」