ピアニストと野獣

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放課後。


私はいつものように音楽室でピアノを弾いていた。


キィ…


「―――!」


突然扉の開く音がしたので弾きながらチラッと目を向けた。


「…。」


目を向けた先にはあいつがいた。


こちらに来る気配も、喋りだす気配もしないので、私は手を止めて口を開いた。


「私に何か用があるの?…陸。」


「えっ…。いや、ただ…さ、沙羅のピア、ピアノがきききき聞きたいから来たんだよ!!」


「あっそ。」


挙動不審な陸を軽くあしらうと私は、再びピアノを弾こうと思い、構えた。