ピアニストと野獣

『入りなさい。』



扉の向こうから低めの声が聞こえてきた。



ガチャ…。


「失礼します。」


私は東藤さんの後ろをついて歩いた。


ど、どんな人なんだろ―――



「いや~…。よく来たねぇ。私が隼人の祖父です。」


えー…!!


メッチャ明るい人やーん!


「き、北河沙羅です。今日はお招きいただき、ありがとうございます…。」


東藤さんのおじい様だから、どんだけ厳しい人が出てくるのかと身構えていたものだから、真逆の人が出てきて思わずどもってしまった。



そんな私を見て
「まぁ、肩の力を抜いて!」
なんておじい様に言われてしまった。