ピアニストと野獣

東藤さんは少々考え込んでから口を開いた。


「お前、コンクール出たよな?」


「え?……はい。出ましたよ?」


「その時に俺の祖父がお前を気に入って、俺とお前が知り合いと知ったら、今度連れてこいとは言われたんだよ…。」


「はぁ!?」


何それ…。


私はあっけらかんと東藤さんを見た。


そんな私に東藤さんは微笑み、頭に手を置いた。


「まぁ、大丈夫だ。俺の祖父もお前を取って食ったりしやしないさ。」


「…。」