ピアニストと野獣

「笑うなー!」


私は少し(殺気を込めて)睨んだ。

西園寺はニヤニヤして
「さっきのお返し。」
と言った。


「は?意味わかんないし。」


私が眉間にシワを寄せて言ったら、西園寺は少し考えて「天然か…。」と言って話を変えた。


「そんなことより、明日真美の見送り行くだろ?」


「えっ?…もちろん行く!」


「じゃあ、迎えに行くから家教えて?」


「えっと、あのマンション。」


教室の窓からでも分かるデカイマンションを指差した。


「えぇ!?あのマンションに住んでるのかよ!…まったく、誰が沙羅のことを“貧乏”だなんて言ったんだよ。」


西園寺は腕を組んで眉間にシワを寄せていたが、パッと笑顔になって

「じゃあ明日の8時に迎えに行くから!」

と言って教室から出ていった。